夜行観覧車

画像:Amazon.co.jp

夜行観覧車

著者
湊かなえ『告白』で2009年本屋大賞
ジャンル
高級住宅地の殺人事件と、向かい合う二つの家族
朗読

ミミオミの順位 47位/62冊

面白さ星3(5段階)

  • 耳向き度星4(5段階)
  • 再聴したい度星3(5段階)
9時間53分

Audible 版の再生時間

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ひとことレビュー

面白かったかと聞かれると、正直そうでもない。なのに、殺人事件より向かいの家の母娘げんかが頭に残り、自分ならどう向き合うだろうかと考え込んだ。

レビュー日 ・書いた人 ミミオミ

なぜこの作品を選んだのか

湊かなえさんの作品だから。理由はそれだけです。

オーディブルでの評価は、そこまで高くありません。昔ドラマになっていたことも知らず、見たこともありませんでした。それでも湊かなえ作品なら、と再生して、1.4倍速で3日ほどで聴き終えました。

どんな作品?(ネタバレなし)

舞台は高級住宅地「ひばりヶ丘」。エリート一家の高橋家で、父親が殺され、母親が加害者になるという事件が起きます。

その向かいに住むのが遠藤家です。母の真弓(まゆみ)は、無理をしてこの街に家を建てました。娘の彩花(あやか)は中学受験に失敗してから、家の中で荒れ続けています。

事件のあった家と、向かいの家。物語は二つの家族の視点を行き来しながら、真相に近づいていきます。

殺人が起きた家より、向かいの家に引っかかる

事件の中心は高橋家です。ところが、聴いていて心が動いたのは、そちらではありませんでした。

加害者の家族というだけで、石を投げられ、中傷のビラを貼られる。つらい話ですが、想像できる範囲です。

引っかかったのは、何の事件も起きていない遠藤家のほうでした。

彩花が癇癪を起こして、母親の作ったご飯をぶちまけます。物を投げて壊します。母親が大切にしていた家の床にまで、傷をつけます。ずっと耐えてきた真弓は、そこでとうとう堪忍袋の緒が切れます。娘を殺さんばかりの勢いです。

そりゃそうだ、と思いました。好き放題にさせて、我慢して、それでもどうにもできない。その苛立ちと怒りが、この場面に全部詰まっていました。

二つの家で起きていたことは、同じだった

遠藤家がここまで歪んだ原因は、突き詰めれば一つです。親の期待が高すぎた。娘はそれに応えられなかった。それだけのことで、家族はここまで壊れるのかと思わされます。

そして、同じことが高橋家でも起きていました。息子の慎司(しんじ)は、バスケがしたかった。

人には向き不向きがあります。期待されたところまで行けないこともあります。それを親が読み切れないまま、できない方向へ無理に進ませると、いい結果にはなりません。

事件が起きた家と、起きなかった家。根っこにあるものは同じでした。

自分の子どもが、失敗を人のせいにしたら

私にも子どもがいます。思春期に入ったらどう変わるのか、予想もつきません。

彩花は、自分の失敗を人のせいにします。もし自分の子どもが同じ姿勢を見せたら、そのとき私はどう対応するのか。聴きながら、それを考えていました。

子どもをよく観察して、理解する。適性や興味、好きなことに目を向ける。親にできる最善のことは、結局それなのだと思います。

正直、聴いていて楽しくはない

ここまで書いておいて何ですが、面白い作品だとは思いませんでした。

歪んだ性格の人物が多いのです。家でヒステリックに荒れる娘。事件のあった家に石を投げ、ビラを貼る近所の女性。その内なる声を聴き続けるのは、かなりのストレスでした。なぜこんな考え方になるのか、と何度も思います。

ナレーターは安田章大(やすだ・しょうた)さん。ドラマ版で高橋家の長男を演じた方です。ストーリーは★3ですが、オーディブル適性は★4にしました。ストレスを感じるほど、人物の内面が耳に届いたということでもあるからです。

こんな人におすすめ/向かない人

✅ 思春期の子どもがいる親、これから迎える親
✅ 人の内面のいやな部分まで描く、湊かなえ作品が好きな人
✅ 事件の謎より、家族の中で何が起きていたのかを知りたい人

❌ 登場人物に共感しながら聴きたい人
❌ 聴いていてストレスがたまる話が苦手な人

まとめ:親にできるのは、子どもをよく見ること

「親の期待が、子どもと家族を追い詰めていく物語」。

面白かったとは言えません。ただ、あの母娘の喧嘩と、「自分ならどう向き合うか」という問いは、聴き終わったあとも残っています。

聴いた日:2026年10月 / ナレーター:安田章大 / 再生速度:1.4倍速 / 聴き終わるまで:3日間

同じ読書好きの方に、あわせておすすめの一冊です。

同じ湊かなえさんの作品です。こちらは、誰かのために動く人たちの話でした。人の歪みを聴き続ける『夜行観覧車』とは、後味がまったく違います。

→『Nのために』はみんな誰かのために動くのに噛み合わない。4日で聴いた湊かなえの純愛ミステリー【オーディブル感想】

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